Butabana

2013/04/21

『母親やめてもいいですか』『人間仮免中』…「痛っ」に共感 体験漫画 「ここまで描くか」胸打つ


「ここまで描くか」と驚くような、著者自らの痛々しい体験を赤裸々に明かす
エッセー漫画が支持を広げている。きれい事で済まない人生を通して描かれる真実味や
人間賛歌が、読む人の胸を打つようだ。 

JR川崎駅前の書店、丸善ラゾーナ川崎店。「母親やめてもいいですか」(かもがわ出版)と 題したエッセー漫画が平積みされ、子連れの母親らが手に取っていた。 「親子や夫婦関係がきれい事でないだけに誠実に描かれ、家族について考えさせる」と 同店一般書売り場長の小川英則さん(38)。三月の刊行後、三刷り八千部を超えた。

原作者は三十代後半のライター・山口かこさん。わが子と別離するまでをつづる。

幼いころに父を亡くした山口さんの夢は、家族をつくり平凡に暮らすこと。ところが結婚後は 不妊と流産に悩み、その末に授かった娘は広汎性発達障害と診断された。 「子に障害があっても多くのお母さんは頑張っていた。でも私は頑張れない弱い母親だった」

「いつも貧乏クジ」「何で私ばっかり?」とマイナス思考の連鎖に陥り、ネットで悪い
情報を集め、うつに。娘と心中しようとしたことも。現実逃避から浮気、宗教へ。 夫から離婚を突き付けられ、子と離れ…。どん底に陥った過去を、泣きながら描いたという。

 浮気や子を手放したことに読者から厳しい意見もあるが、育児中の母親らから共感の声も届く。

 「私は、ほほ笑み返してくれるといった見返りを求めずには親子の愛情を育てられず、
この子には自分なんていなくていいと子の手を離してしまった」と山口さん。
「でも、どんな子も親の支えを必要としていることに、後になって気づいた。百人に一人かも しれないけれど、自分と同じような母親に、そのことを伝えたい」

夫の会社が倒産し、借金返済のためストリップ嬢やAV嬢をするも夫には自殺され、
統合失調症と闘い…。そんな体験がつづられるのは、卯月妙子さん(41)の漫画
「人間仮免中」(イースト・プレス)だ。

  世間が自分を責めていると感じる妄想や、「殺せ」という幻聴。克服のため自傷行為に
走った上に、歩道橋から身を投げ、顔面の複雑骨折と右目失明…。すさまじい体験と、
そんな中でも出会った内縁の夫らとの、不器用ながらも愛情深いやりとりが描かれる。

 カルチャー誌「フリースタイル21」の「このマンガを読め!」で第二位になるなど、
さまざまな漫画ランキング特集で上位に。「重くて読めない」との声もあるが、 「身につまされる」「励まされる」と反響を呼び、十二万部に達した。

 同誌の評者で評論家の藤本由香里さんは「絶句するほどの体験を読んでいるうちに
涙があふれ、人間のすごさ、優しさに頭をたれる思いがする」と評価。高い支持について
「凄絶(せいぜつ)な体験を、著者も、身近な人も正面から逃げずに受け止めている。 読者はそこに衝(う)たれる」と話す。

引用元
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013041802000233.html